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とぼとぼと歩き出す街の中。
遠くではビルの中に散りばめられたたくさんのオレンジ色の小さな光が美しく夜の闇を彩る。
明日は休日。
世の中は浮かれ気分で、肩を組んで歩く酔っぱらいも多くいる。
その間を歩くのは今の私には困難だった。
足に力が入らない。
目の前がひたすらにぼやけて見えるのは、雨と涙のせい。
傘をささず歩くのにも抵抗はない。
その時、向かいから歩いてきた酔っぱらいの男の人の肩にぶつかり、尻餅をついた。
「おい、気を付けろ!」
「すいません。」
あーぁ。
新しいスカートだったのに…。
初めて…白いスカートなんか履いたのに。
全部…徹のためだったのに。
いつまでも涙が出た。
腰に力が入らず、その場から動けない。
手のひらからは血が出ていた。
この歳になってケガするなんて、あたし恥ずかしい。
あたし…ホント馬鹿だ。
捨てられたのは………
私だ。
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