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「ここ座れ。」 「え?」 「いいから黙って座って手のひら見せろ。」 少し乱暴に。 でも優しく。 蓮王は擦りむいた傷に消毒液をつけ始めた。 「消毒液の臭いでわかったの?やっぱ犬だね。」 「ばかっ、俺は人間だ。」 「犬じゃん。」 「意外に傷つくからやめろ。」 消毒液が傷に当たるたびに小さなちくっとした鈍い痛みがした。 この傷はすぐに治るんだろう。 「なんで泣いてたんだよ。まさか転んで痛くて泣いてた訳じゃねーだろ。」 「なんであんたなんかに話さなきゃなんないのよ。」 蓮王は絆創膏の箱を取り出した。 また無意味に涙が出た。 次から次へと流れ出る。
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