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「そんな意地はらなくたっていいよ。だんだん覚えていけばいいんだから。」
私は蓮王の皿の上の目玉焼きを箸で少し切り、それを彼の口元に持っていった。
「はい。」
「これじゃあ赤ちゃんみたいだろ。俺だってそんなことくらいわかる。」
「んじゃあ食べなくていいー。」
そういって目玉焼きを自分の口に放り投げた。
「あっ!食べるって!」
私は満足げにふた切れ目を彼の口元へ持っていった。
「もう。素直に最初からそういえばいいのよ。」
蓮王は卵焼きを嬉しそうに、でも少し恥ずかしいのか頬をピンクに染めて口に入れた。
その顔は本当に普通の男の子の顔で…
見たこと無いくらいに綺麗な男の子の顔で…。
私のほうが顔が熱くなってくる。
それを悟られまいと、無理矢理に三口目を蓮王の口に突っ込んだ。
「そんなに入れたら飲み込めないだろ。」
「やっぱり犬だね。八重歯あるし。」
「あーうん。なんか八重歯は残ってる。」
そういって笑った顔に、八重歯がひかる。
不覚にも胸がときめく。
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