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「あのさ、蓮王っていくつなの。」
「犬の数え年で、人間と照らし合わせると…ちょうど20歳とか21歳とかかな。」
嘘…私より年下じゃん。
なんか犯罪…。
「紗亜耶は?25くらい?」
「失礼ね、まだ24だっつの。まぁ…あと一ヶ月とちょっとで25になるけど。」
最後のコーヒーで食パンを流し込む。
「あんま変わんないじゃん。ってかむしろ正解じゃん。」
「私はメスとは違うの。歳をとることに敏感な人間の女の子なの!。」
お皿をシンクに放り入れる。
水を流し始めると、蓮王はそれを覗き込んでくる。
顔が近くになるたびに、あまりに情けなく、心臓が高鳴るのを感じていた。
犬の匂いなんかじゃない、ちゃんと人間の肌の匂いがする。
そんなことに気を取られていると、手元が滑った。
「なんだよ。片付けは苦手?」
蓮王は笑いながら浴室へ向かう。
「タオル貸してー。」
思わずため息が出る。
なんだか本当にペットを飼っているようだ。
何もできない犬より二倍は手がかかる気がしたけれど…。
お皿を拭き終わって、ソファーに腰をかける。
久しぶりに日曜の朝に目覚めた。
いつも土曜日、一週間でたまりにたまった仕事の残りをやってから帰宅するため、結構夜遅くまで会社に残る私は、次の日の休日は寝て過ごす。
気がつけば夕方なんてことが大半だ。
カーテンの隙間から入ってくる光が眩しくて、なんだか気持ちがよかった。
窓の近くの椅子に移動した。
窓を開けてタバコを吹かす。
タバコの量も最近じゃ増えた。
徹と付き合ってから少し減らすようにしていたためだろうか。
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