22人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんかさ…ほんとかわいくないな、その格好。」
「うるさいわね。文句言うんならつれていかないわよ。」
部屋を出てから繁華街までの道のりは、朝の散歩をしているようで、気分が晴れた。
「紗亜耶、知ってる?お前が俺を拾ってきたあの日、いつの間にか寝ちまったお前にキスをして、人間になってお前ベッドまで運んでやったんだぜ。」
いっきに気分が害された。
「ちょっと!それって犯罪じゃない!ただの夜這いよ!汚らわしい!」
「そんな顔赤くすることないだろ。」
「ふざけんなっ!」
持っていたバックで思い切り頭を殴った。
「いって!」
「こんなんじゃ足りないわよ!」
「いった!おい、やめろよ。犬のときだったし、風邪ひかなくて済んだだろ!」
「くしゅん!」
ふいにくしゃみが出た。
「おい、わざとだろ。」
「わざとじゃない!」
そんな会話をしているうちに、電車に乗り込んでいた。
わりと空いている車内なのに、蓮王は私の近くを離れない。
その距離数センチ。
「ねぇ、なんでそんなに近づくのよ。」
「俺…電車初めてなんだよ。」
最初のコメントを投稿しよう!