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「あっ、ダメ!パンツは三枚で1000円のにして!」
「けち!俺はこっちのデザインがいいの!」
「誰にも見せるわけじゃないんだからいいでしょ!」
そんな話をしながら歩いていると、すぐお昼になる。
箸を使わなくてもいい店といえばパスタだ。
ふと目に入ったのは、徹と初めてデートできた店だった。
ここもイタリアンだった。
ワインを空けて、アンチョビソースのパスタを食べた。
そんなことばかりが浮かんで、私をその店の前で立ち止まらせた。
「ここがいいの?」
「あっちょっとそこはダメ。」
そういっている間に、蓮王は店に入ってしまた。
「蓮王!ここは嫌だってば。」
「いらっしゃいませ。何名様ですか。」
「2名です。」
渋々席に座る。
ランチはディナーと違ってだいぶ手ごろな値段になっていて安心はしたが、なんとなく気持ちが落ち着かないのはあの時の心の震えが、嫌な味わいとなって胸をどんどん浸していくからだった。
Aランチのアンチョビソースのパスタを避け、ミートソースを選んだ。
蓮王も幸運にもミートソース。
いや、蓮王はきっとどちらにしてもミートソースだっただろう。
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