22人が本棚に入れています
本棚に追加
それにしてもこちらの男女もなんとも滑稽なもんだ。
赤の他人どころか、犬と人間。
しかも90日契約。
飼い主とペット。
どこをとっても、本当に不思議でなんともいえない関係だ。
部屋に戻ると、買い物中ずっと我慢していた頭痛がまた酷くなっていた。
やっぱり今日動くべきじゃなかったかな。
夕飯後、鎮痛剤を飲んで横になったはいいものの、なんだか身体が重くてソファーからベッドに移動することさえが億劫だ。
「紗亜耶、ちゃんとベッドで寝ろよ。風邪ひくぞ。」
「そうね。でももう風邪ひいてるみたい。」
「え?」
ふわりと香った今朝かいだシャンプーの匂いが、私の顔のすぐそばでした。
青い目が、私を見上げる。
神秘的な透明な肌が私のおでこに触れる。
彼のおでこはひんやりと冷たく、まるで本物の彫刻におでこを押し当てているようだ。
分厚くごつごつした掌が私の首をつかまえて離さない。
その掌の強さと、おでこの優しさに体温が上がるのを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!