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こんな夢を見た。
それは、ぼくが一人、池の畔にたたずんでいる夢だった。
満月がくっきりと浮かんでいた。池の中でもふよふよと泳いでいた。
ウサギが溺れて苦しがっていたから、ぼくは、池に飛び込んだ。
溺れているウサギ目がけて飛び込んだけど、真っ暗な夜に、頼れる明かりは月の明かりだけで
水が目に沁みるのを我慢しながら、辺りを手でかき回してウサギを捜した。
どこにいるんだい?おいで、ぼくが助けてあげるから。
ウサギはどこにもいない。深い、深い、池の底に沈んでしまったのだろうか。
手で水を掻き分けながら、足でジャブジャブと水中を蹴った。
本当に月の明かりも届かなくなって、真っ暗闇の、冷たい水の中を重くなった服を引きずって泳いだ。
上の方で、月が割れた気がした。
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