お城からの招待

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だが、私は実際まだ処女だし性的な知識は酒場で客が話していたのを聞いて知っているくらいしかないし、背ばかり高くてそんなに物事をはっきり言って反発したりすることもない内気な性格だと思う。 なのに周りは見かけばかり見て本当の私を見てくれようともしない。 ふと顔を上げて窓から見えるお城を見つめる。 いつか優しい王子様が私を迎えに来てくれる… そんな夢を抱いたこともあった…いや、今でも夢に見る。 だけど私は貧民街で生まれて捨てられていた子供。 私を拾って育ててくれたお婆さんも昨年末、とうとう病気で死んでしまった。 本当に孤児になった私を今だと言わんばかりにこの酒場の店主は住み込みで雇ってこそすれ、未だに何だかんだ理由をつけてまともに給料すらくれず、正直タダ働きをさせられている。 食事も酒場の客が残していった残飯をくれるくらいでまともに摂らしてもらったことすらない。 それでも食べ物もなく住むところも無いのと比べれば、今の私は恵まれている方だ。
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