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「成功・・・。みたいだな・・・。」
少し拳には痛みが残ったものの、身体には特にこれと言った害は無いようだ。
まあ、今の段階では、だが。
「これなら筋力、反応速度、耐久力なんかを3倍くらいにあげても大丈夫だろう。」
そう言って彼は再び能力を自分に使う。
イメージは慎重に。
「よしっ、もう一回パンチしてみっか!」
先ほど木につけた小さな窪みを狙って、彼は拳をふるった。
拳が木に当たった瞬間。
鈍い音をたてながら、木は真っ二つに折れた。
「ありゃ?」
人間の3倍の力で木が折れた?
そんなにも人間の力とはすごいものなのだろうか?
だが、自分の3倍の力で目の前に横たわる自然破壊が出来るのだろうか。
不思議に思って少し身体を動かしてみるが、そこで彼の頭に漂う違和感。
設定した3倍の筋力にしては、先ほどの1.5倍とは比べ物にならない力を感じるのだ。
「そうか・・・。さっきの1.5倍の身体強化のうえに3倍をかけちまったんだ。この能力は解除しないとそのまんまになるのか。」
確かに、透明の壁は未だに残っている。
ならば、能力の解除は出来るのだろうか。
物は試しだ。
幸い壁にはヒビが入っているため、目で捉えやすい。
イメージは慎重に。
そして音もなく壁はそこから消えて無くなった。
「これも成功っと。」
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