My name is

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彼はお人よしではない。 善人でも、偽善者でもない。 無償で人を助けることなんて絶対しないような、どこにでもいる人物だ。 普段の彼なら襲われている人を見ても、特に気にせず傍観するだけなのだが・・・。 「おそらく人、又はそれに近い存在が乗ってるだろうな。となると街や村の場所を知っているだろう。たとえそいつらが死んでも、馬車の中には地図がある可能性が高い。これをみすみす見逃すわけにはいかねぇな。」 独り言を言いながらも、全く息を切らさず彼は全力で森を疾走する。 「赤いドラゴンって事は、ファンタジー的に考えて炎とか吐いたりするだろうな。馬車が燃やされちまう前になんとかしねぇと。」 そう言って彼は更にスピードを上げる。 それに、馬車の中に地図が無い可能性も否定はできない。 そんな時、あの人間たちには生きていてもらわなければ困る。 「すっごい高級感あふれる馬車だねぇ~。大方乗っているのは、お姫様と護衛の騎士団ってとこだろうな。もしくはテンプレから少し外れるけど、超裕福な商人と、雇った護衛って感じかな?どちらにしろ腕が立つ連中が多いはずだから、ある程度は持ちこたえてくれるだろう。」
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