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人間の域を超えた速度で疾走する彼ではあったが、一度たりともその身体が木々に衝突することはなかった。
自分の力で自分自身を危険にさらさないために、まずは反応速度を重点的に強化したためである。
それが良かったのだろう。
例え木を避けたすぐ目の前に別の木があったとしても、強化された視力と併用する事で余裕で回避することができる。
そんなこんなで回避ばかりしているせいか、方向がわからなくなってしまった。
が、強化した聴力がドラゴンの羽ばたく音を逃さず、獲物の正確な位置を知らせていた。
それを頼りに、能力の行使に慣れない自分でも余裕で衝撃波をぶち当てる事の出来る距離まで接近し。
彼は跳躍する。
「たぁりゃああああ!!」
地面が陥没する程の力を込めた跳躍は、彼の体をドラゴンが羽ばたいている高さまで押し上げた。
ひゅうひゅうと耳元を切り裂く風の音が心地よい。
「これで狙いやすくなったッ・・・!!」
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