My name is

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途端に、周囲を覆わんとばかりの咆哮。爬虫類面のそれは、化け物に相応しいおぞましい叫び声を漏らしている。 衝撃波をモロに食らったドラゴンは、原型がわからなくなるほどに巨大な身体を歪ませながら落ちて行った。 それでも鳴き声を出せるとは、驚くべき生命力である。 しかしそれが限界であった。 地面に衝突すると同時に、ドラゴンはその生命を終わらせた。 衝撃波を食らった瞬間。 ドラゴンの目には、空中を駆けながら、こちらに右手を振りかぶっている少年の姿が見えただろう。 そして、その少年が無邪気な笑顔を浮かべていることにも。 それはおもちゃを手にした子供が見せる笑みで。 もっともドラゴンにはその表情の意味、その表情が笑顔であるという事すら理解出来なかったのだろうが。
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