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そんな穏やかな空間にいながら、[男]の心は全く穏やかではなかった。
地面に座り込んでいるその男は・・・。
いや、男というより少年というべき顔立ちのその人物は、この森に似つかわしくない姿格好で座り込んでいた。
半袖の黒いTシャツに、これまた黒い長ズボン、すこしヨレヨレになった白のパーカー。
おおよそ荷物というものは身につけておらず、彼はとても森にくるような格好をしてはいなかった。
適当な長さに切られた滑らかな黒髪を揺らしながら彼は地面から立ち上がると、自分の周りを360°覆っている木々を見渡し・・・、
「何処だ・・・ここ・・・。」
・・・と、小さく呟いた。
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