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彼の前に少女が歩いてきた。
歩き方や動作の1つ1つに気品が感じられる。
やはり何処かの国の姫なのであろう。
「どなたか存じませんが助かりました。よろしければ、ぜひ城に・・・。」
「姫ッ! 危険です!! その男から離れてくださいッ!!」
少女の声を遮って隊長が叫ぶ。
まだ一言も喋っていないと言うのに危険人物認定とは。
熱血バカと言うより唯の阿呆。
こんなのが姫君の護衛部隊の頭を務めるとは、どうせロクな国では無いのだろう。
「見知らぬ服装! 怪しげな漆黒の髪!人とは思えぬ強靭な身体! そして何より[フレイムドラゴン]を一撃で葬った謎の力!!貴様ほどの実力者が我が国の民であるのならば、私が知らぬはずがない!!何者だ!!!」
その言葉を聞いて、少年は、あの龍がフレイムドラゴンと言う名前なのか、と1人思考に入る。
やはり火でも吹きそうなその名前。
早めに助けておいて良かったと、自分の判断に感謝。
そんな調子でまるで話を聞いてない彼の態度に、隊長は怒りを隠そうともせず怒鳴っている。
「このストーダの森はイリア王国の領土であるという事が大戦後の条約で定められている! 返答、弁解が無ければ、貴様を王国侵入罪で連行する!!」
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