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イリア王国という聞きなれない国名に、少年は首を傾げた。
やはり、ここは自分の知らない世界であるらしい。いや、なにも自分は地球上の全国家の名称を暗記しているわけではないが。だが、ドラゴンが普通に生息している国家や地域など、聞いたこともない。
兎にも角にも、まずはイリア王国とやらを目指してみようか。
やはり案内か地図がいるな、と考えていると、再び騎士隊長が口を挟む。
「おい貴様!聞いているのか!!」
かなり頭に来ている様だ。
騎士隊長は大声で怒鳴り散らしている。
だが、何も頭にきているのは彼女だけではない。
「・・・・うるせーな。」
少年も当然、気分を悪くしている。
良心からの行動ではないとはいえ、彼女達の命を救ったのは彼なのだ。
命の恩人である自分に怒鳴り散らし、勝手な推測で罪を着せられ、挙げ句の果てには連行するとまで言われて気分を悪くしないはずがない。
「・・・ッ!! おい! コイツを捕らえろ!」
彼の一言で堪忍袋の緒が切れたのだろう。
隊長は周りにいる騎士に命令を下す。
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