58006人が本棚に入れています
本棚に追加
/1045ページ
レンジがそう言った瞬間、彼は自分の身体を捻って180°向きを変え、隊長と向きあった。
レンジがとてつもないスピードで回転したため、隊長ですら彼の動きを捉える事が出来なかった。
隊長から見れば、彼の後ろをとったはずなのに、何時の間にか自分と彼が向き合っている様に見えただろう。
にもかかわらず隊長の表情は変わらなかった。
当たり前だ。
隊長の首は落とされていたのだから。
レンジは体を回転させるのと同時に、手刀で突きつけられていた剣と隊長の首をなぎ払ったのだ。
折れた剣を持ちながら、首の無い隊長は地面に倒れ、朱色の水溜りをつくっている。
「その程度か!」
と、少年が死体を嘲笑っているのを見て、騎士達は隊長が死んだ事に気づいた。
騎士達はレンジの笑顔に恐怖を感じ、剣に手をかけ、
「よくも・・・・。隊長をッ・・・!」
誰かが言った言葉を聞いて、一斉に全員剣を抜き、構える。
だがそれでも、レンジは大して面白くなさそうに気の抜けた表情をしていた。
そんな彼の目の前で、騎士達の身体に、赤、青、黄、茶、緑、黒などの影のようなモノが漂い始める。一色のみの者もいれば、複数の色を持つ者もいた。
おそらくそれは身体強化。思い返せば、先ほどの騎士隊長も動作時に身体を白く光らせていた。
あくまでも推測でしかないが、それぞれの色が属性を表しているのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!