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「隊長の仇! このッ・・・!」
騎士の1人がそう言うのを聞いて、レンジはさらに嗤う。
「あんたらは俺を殺すつもりなんだろ?だったら逆に殺されても恨むなよ。」
ヘラヘラと笑いながらレンジは言った。
その表情は余裕に満ち満ちて、どこか哀れみさえ感じさせる視線。
「貴様!ふざけッッ・・・・。」
騎士が1人、吹っ飛んだ。
重たい鎧を着こんだ身体が、地面とほぼ水平に吹き飛んで、しかし重力に引きずられて地面にめり込む。
深い溝を作りながら土を耕して移動する騎士は、やがて運動エネルギーを無くして停止した。だが、それほどまでの力をぶつけられた身体はぐちゃぐちゃで、四肢をありとあらゆる方向に捻れさせた騎士の姿は生命を感じさせない。
「まずひとぉーり。」
返り血を浴びながら嬉しそうに嗤うレンジ。彼は先ほど吹っ飛んだ騎士の立っていた場所で拳を突き出しており、彼が騎士を[殴った]のだと理解できる。
結果を見て、そう判断させられるこの状況。それを作り出した少年は、自らの楽しげな感情をこれでもかと周囲に発散していた。
その光景は正に悪魔的で、そんな存在と相対する騎士達は、地に立っている感覚を失ってしまう。
まるで、奈落の底に落とされるが如き絶望。
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