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彼にはこの森に来た記憶がない。
数分前。
入学して数ヶ月は過ぎたであろう高校から帰宅し、学生服から普段着に着替えて出かけようとしたところまではハッキリと覚えているのだが・・・。
気が付いたらここにいたのである。
いや、もしかしたら気絶していたかもしれないので、数分前とも言えないかもしれない。
拉致、誘拐、事件、事故。
様々な憶測が彼の脳内を駆け巡った。
広い森・・・。
彼にわかるのはそれだけだった。
周りを見渡しても、立派な木々がそびえ立っているだけである。
彼は都会とは言えないものの、自然なんて殆どない環境で生活してきた。
自分が住んでいた近くには・・・。
少なくとも自分が知る限りでは、こんなに広い森は無いはずだ。
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