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「ようやく、ゆっくりできるな・・・。」
この世界に来てから初めての休息。そうなると考えてしまうのは、これから先の事。
「やっぱり元の世界に帰りたいよな・・・。」
レンジはこちらの世界でずっと暮らしていく気はさらさら無い。
誰が好き好んで、馴染んだ世界を捨てられようか。ここでは自分は天涯孤独だというのに。
だから、まず真っ先に浮かぶのは[元の世界への帰還]だ。
イリア王国に行こうと思ったのも、ひとまず当面の生活をどうにかしようという事と、できるのであれば元の世界に戻る手がかりを探すためだ。
ファンタジーの世界なんだ。どうせテンプレ通りのギルドでもあるに違いない。そして本当にあったのならば、他者との交流による情報交換も可能だろう。
そう考えているうちに2つ目の果物も剥き終わり、レンジは自然の恵みにありついた。
その味は、記憶にあるリンゴそのもので、感動も何もない。強いていうなら少し酸味が強くて歯ごたえがあるくらいか。
シャクシャクと、小気味の良い咀嚼音だけが聞こえる。
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