0、プロローグ

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 案の定、僕は負けたよ。完膚なきまでに。  そうして悔しそうに倒れた僕を見たアイツは、僕が自分を討伐しようとした父さんの息子だとしって、こんな提案を持ち出した。 一度だけチャンスをやる。もう一度勝負をして僕が負けたら、父さんが守ろうとしたこの大陸を消すって。  何考えてるんだって僕も焦ったさ、でも相手は黒い渦みたいな実体もない「よく分からない者」で、人間には考えつかないようなことも平気で言い出せる化け物だったから。  仕方なく受け入れようにも、ただの人間である僕にはアイツと再戦する為に必要なものを揃える時間がない。それをそのまま文句として告げたら変な力を渡されてあっという間に人外さ。  だって人間が、心臓を貫かれて生きてなんかいられない。渡した宝石がお前の魂だなんて言われて、それを認めざるを得ないような状況をアイツは僕を殺そうとすることで無理矢理作ったんだ。  この時のことを、残った保護者に言ったら物凄く怒られたよ。流石に母さんには、言えるはずもなくて黙っていたけど、きっと気づいていたんだろうなぁ。  それから黒髪の男性ことエゼキエル・エルドラドは、元々この大陸にあったギルドを力を誇示することで強固に再編成して天空防衛隊を組織。僕にはアイツ……『アザトホース』の住み着いている場所に繋がる通路のある宮殿の清掃係を命じた。  他者が近寄りたくない場所での特訓は、確かに人ならざるものになってしまった僕にとっては有り難かったし余計な考え事をしなくて良い場所にもなった。清掃係を命じた魂胆は、通常の指揮系統に組み込むとややこしいからだったそうだけど。
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