0、プロローグ

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 ……と、まぁ長々と数千年も前の昔話をさせてもらったけれど、今この話をしたのにもちゃんと理由があるんだよコア。  そんなに長い間動かなかった理由は、まぁ簡単さ。人外とはいえマグマに落ちたりなんかしたら死んじゃうし、冷却手段もなしに火山なんかに入ったら熱されて動けなくなりかねない。……あぁ、いきなりこんな話になったのも理由があるんだから聞いてよね。  僕がアザトホースを倒す為に、最適だと思った武器がある場所が火山だった。それだけさ。しかも砂漠の中にある火山だ、行くまでも大変さ。  でも近年、その砂漠にある火山へ入る為の手段として高度な魔法を応用して創られた魔術を、ローブに術式として組み込んで、人が火山にローブ一枚で入り込んでも死なないっていう今までの常識じゃ考えられない技術が本当に出来ちゃったのさ。  だけどそんなに高度な技術を持ったローブだ、勿論大量になんか生産されないよ。だからその限られた数のローブを、これまた限られたハンターに貸し出してついでに火山も調査しようなんて計画が一年ほど前に打ち出された。  本当はもう少し早く調査がされる予定だったけれど、諸事情があって遅れたらしくってね。8月9日に引き延ばされちゃったんだよね。前日に光の一族次期当主様の成人式して、その次の日って急ぎすぎな気がしないでもないけれど、僕としては嬉しいかな。  勿論アイツだって、僕にこんな好条件の賭けを持ち出したんだ、あんまり有利になりすぎないように妨害はしてくるだろうけど大丈夫。なんだって乗り越えられるさ。  ……だから、コア。僕そろそろ行ってくるよ。無理に頼んで調査隊に入れてもらったんだ、どうにかして例の秘宝を取ってこなきゃ。君の師匠も、武器さえ手に入ればきっとすぐにでも助けてあげられるよ、余計なオマケがついてこないとは言い切れないけどね?  武器が手に入ったら、一緒に行こう。それまで待ってて、これから僕の物語の、順調なスタートってやつをきってみせるよ。
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