4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
スカートで隠れていたホルスターから銃を引き抜き、床を蹴って後退し男との間合いを開ける。
「悪いけど、もう作者の精神が限界みたいなの」
演説中の政治家の様な笑顔を見せつけてやりながら、素早く男の額に照準を合わせ、そのまま呆気にとられた阿呆面に銃弾をぶちかます。
頭蓋骨を貫通し、血と脳しょうを撒き散らしながら男は後頭部から倒れこむ。続けて胴に一発、おまけにもう一発の銃弾をぶちこんでやる。
溜息をつくと、すっかり馴染んだ火薬の匂いが鼻を刺激した。倒れた男からは紅い水溜まりと鉄の匂いが広がる。
死体を隠すわけではないが、安っぽいベッドのシーツを男に被せてやる。あたしなりの死者への手向けだろうか、自分でもわからない。
依頼も受けずに人を殺すのは久しぶりだ。でも珍しいことでもない。他者の心臓を止める……ただそれだけの行為なのに、あたしは中毒と言っていいほど溺れてしまっている。
例えるなら、淡い満月の光で全身を包みこまれるような、じわりと広がる清々しい感覚。それを味わうために、あたしは誰かを殺す。
アジトにいるだろう相棒の顔を思い出す。あいつはこの事を知ってるんだろうか、もしも知ったら……。
それでも関係ない。ルクはルクなんだ。あたしじゃない。あたしは――アスカなんだから。
✨アーちぁんの××日記✨ 終
最初のコメントを投稿しよう!