取説:其の一

3/9
前へ
/273ページ
次へ
「なぁ!何点だったんだよ?」 「たまちゃん、何点だったぁ?」 両隣から、興味津々で私のテストを覗こうとする二人。 ふわふわ天然癒し系女子の三春恵美(えみ)と、野球部員でいがぐり頭の白河直人。 二人とも完全に楽しんでる。 何故なら二人は知ってるから。 私は英語が大の苦手だって事を! 「そっとしといてぇっ!」 二人の意地の悪さに泣きたくなって、私は机に突っ伏した。 「あははっ!たまちゃん可愛い~」 「……平均点以下は確実か」 「うっさい!」 サドな二人に一喝した時。 「あなたが一番煩いです。双葉さん」 低くてよく通る声が、頭の真上から落ちてくる。 ……え。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

656人が本棚に入れています
本棚に追加