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二人は木刀を構えた。
すると、これまでニコニコしていた侠華の顔が、いきなり真剣な表情へと変わった。
侠「…いざっ!」
掛け声と共に侠華は土方に斬りかかっていった。
土「!?」
土方は目を疑った。
まばたきをした次の瞬間、侠華が目の前にいたからだ。
ガキィ
大きな音と共に木刀がぶつかり合った。
土「…クッ」
侠華は余裕の表情だが、土方は顔を歪めた。
土(女のくせして何て力だ…)
二人の押合いを見ていた隊士達は、目の前の光景に目を丸くしていた。
隊(あの副長が…負けてる。)
近「なかなかやるなぁ、侠華ちゃん。さすが、トシの妹なだけある。しかし、やはり女じゃ男の力には勝てないだろう。」
近藤は微笑ましく見ていたが、沖田は珍しく真剣な顔で見ていた。
沖「そうでもねェみたいですぜィ。」
ズズッ
僅かにだが、土方の足が後へと下がっていた。
それを見た侠華は、少し笑みを浮かべた。
次の瞬間。
侠華は土方の足をはらい、木刀を打ちつけた。
バシッ
激しい音と共に、土方の手から木刀が離れた。
全員「!?」
その場にいた侠華以外の全員が、驚きの表情を隠せなかった。
近「トシが…負けた…?」
土方は、何が起こったのかまだ分かっていない様子で、その場に立ち尽くしている。
沖「はーい、終了。礼!」
沖田の声で2人は礼をした。
侠「手合わせありがとう、兄貴。」
侠華は少し汗を浮かべて笑顔で言った。
土「………おう。」
土方は、まだボーッとしている。
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