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侠「…私は小さい頃から、身を守るためにって道場に通わされてたんだ。最初はやる気なんてさらさら無かったんだけど、ある日から、もう絶対に剣で人に負けたくないと思った。それから、必死に練習したんだ。」
沖「ある日?」
侠「私の大切な人が、たまたま通りかかったチンピラに絡まれて、斬られたんだ。私は助けようと思って剣を抜いたけど、結局何も出来なかった。その時になって、やっと自分の弱さに気付いた。もう遅かったけど………。」
侠華が話し終わった道場の中には、木の葉の落ちる音だけが響いた。
しばらくして、近藤がゆっくりと口を開いた。
近「……そうか。侠華ちゃん、大変だったんだな。」
侠「まぁ、こっちに来る前に注意しといたから、もう何もしないと思うけどな。」
先程までの暗い空気を弾き飛ばすように、侠華はニカッと笑った。
そのチンピラたちがどんな風になったかは、想像がつくだろう。
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