Ep1出会い

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日も暮れかけてきて、西の空がオレンジ色になってきた。 隊士達は交代で少女を見ていた。 仕事を終わらせた土方が、少女を見ていた監察の山崎と交代しようと部屋に入った。 土「山崎、交代だ。」 土方の声に山崎は振り返った。 山「土方さん!もう少し見てますから、休んでてください。」 土方は首を横に振りながら、山崎の隣に座った。 土「お前こそ、休んだらどうだ?結構見てただろ?」 山「すいません。それじゃあ…」 そう言って、山崎が立ち上がろうとした瞬間。 眠っていた少女の目がうっすらと開いた。 それに気付いた土方は、山崎に向かって叫んだ。 土「!?…山崎!近藤さん呼んでこい!!」 まだ状況が掴めていない山崎は、唖然としていたが、土方の普通ではない様子を見て、走り出した。 山「はいっ!!」 少女は、まだうっすらと目を開けたまま、呟いた。 ?「……私…。」 すると突然、何かを思い出した様にいきなり上半身を起こした。 ?「刀!私の刀!」 土方は驚きながらも、少女に1本の刀を渡した。 土「…ほらよ。捜し物はこれか?」 少女は土方には目もくれず、刀を見るととても嬉しそうな顔をし、刀を受け取った。 ?「…ありがとう!」 少女は、金の龍が描かれた紅い鞘の刀を、大事そうに抱えていた。 顔を上げた少女は、辺りを見回して土方を見つけると、土方に向かって言った。 ?「……此処はどこだ?お前は誰だ?」 土方はゆっくりと答えた。 土「此処は、真選組の屯所だ。俺は真選組副長、土方十四郎だ。」 少女は、聞き覚えのある名前だと思ったが、それが自分にとってどんな存在なのかは思い出せなかった。
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