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「きゅ、きゅ~……(どうしよう……)」
りりあの目の前で、番となったクロゴキブリ達が次々と巣作りのために去っていく。
りりあに求愛するオスは、まだいない。
「きゅ……(番になれなかったら、ぼく、死んじゃうのかな……)」
泣きそうになりながら、とぼとぼ宛もなくただ歩く。
「きゅ~?(ここどこだっけ?)」
気がつくと、見知らぬ草原に来ていた。
ゴキブリを自ら襲う動物や虫などいないとは言え、何が起こるか予測不能なのが自然だ。
無防備に歩いていては、餌食にされかねない。
だから、とりあえず森の方へ戻ることにした。
その時だった。
「きゅう!きゅきゅっ!きゅー!(待って!ねぇ待ってよ!僕と番になって!)」
と、涙を流しながら必死に求愛(?)をするオスが、飛び出してきた。
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