一冊目―friend? or―

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*** 二人とも、ただ荒く肩で息をしていた。 が、ようやく声が出せるようになると、僕は声を張り上げる。 「なにしてんだ馬鹿スズ! 落ちたらどうするんだ!」 間に合ったからよかったけど、もし手が届かなかったらと思うとぞっとした。 「ごめんなさい……」 しゅん、と珍しくスズはしおらしい態度を取る。 それにようやく僕は一息をついた。 「……まあ、いい。で? なんであんなことしてたんだよ」 それに彼女は、空を見上げた。 「手が、届くような気がした」 「手が?」 「うん」 「何に?」 彼女の視線を追い。溜息を吐く。 「花火? 届くわけないだろ」 「はは。そうだね。でも届いたよ」 「あ? 何に」 「これ」 そう言って、あいつは僕の手をぎゅっと握った。 「ね?」 *** ――危ないだろう。あんまりうろちょろするなよ。 ――うう、ごめんなさい。 でも、えっとね、あのね……また、すずがね。もしすずがアブナイとき、また、助けてくれる? ――まったく。ま、いいよ。お前が危ないときは、また手、伸ばすから。必ず掴めよ。 ――うん! わかった。 約束だよ? ああ。約束。 だからきっと、大丈夫。 この先に何があっても。 もう君の傍を離れないからさ。 変わらないものは、ここにあるから。 END
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