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『スマイル乳業の子?』
『え、いえ……』
『だってジンジャー豆乳ってスマイル乳業の商品でしょ?』
『あ、はい……』
立ち上がった彼はヒョロヒョロと背が高かった。色白だし、もやしのような。
『新入社員?』
『え、まあ、そんなとこです……』
『普通、先輩と回るでしょ、新入り君なら』
『ええ……』
頼りないもやし君、1週間と持たないだろうなと思ったし、そんなスマイル乳業に入社しなくて良かったと彼を憐れんだ。
『ね、もやし君』
『ぼ、僕ですか?』
『君しかいないでしょ』
『はい……』
『1週間ガンバってここの店に来てみなよ?』
『ええ?』
『そしたら店長さん、これ置いてくれると思う』
『……』
はあ、やっぱり持たないな、もやし君。
『スーツじゃなくてさ、作業着とか会社にあるでしょ。それ着て朝一番に』
『……』
『もやし君』
『はい……』
私も敵に塩を送ってんだか。
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