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「開けてみて」
「うん」
私はキッチンのカウンターで恐る恐るケーキ箱を開けた。あのときと同じフルーツケーキ、でも中央にはチョコのプレートが乗っていた。
「へ……よ、由也くん……?」
「うん」
プレートには筆記体の英字。“Will you marry me ?”
「父が許してくれました」
「ほ、本当に?」
「うん。待たせてごめんね」
「ううん……」
信じられなくて口ごもる。涙で見る見る文字が歪んでいく。
「綾香さん返事は?」
「うん……」
由也くんはそっと私を抱きしめる。そして、これからは今までの分も合わせて幸せにします、と耳元で囁いた。
(おわり)
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追記。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。この待ちわびには続編もあります。お時間ありましたらお付き合いください。“風のようにそばにいて”。
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