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「ほら、早く着替えて!」
「ううっ…今すぐ死にたい…」
泣きながらも観念して女子の制服に着替える。
「おかーさん、ゆー、おは………」
妹の由香が起きてきて、目の前の光景に口が止まる。
「あら、由香おはよう」
「おかーさん……」
由香が母さんに向き直る。
「ゆーが遂に自分という存在の価値に気が付い―「ふざけるな!!!」―……たわけではないのね。」
由香の勘違いを一言で正す。
「優はね、母さんの最高の陰謀…じゃなくて、ミスで女子寮になっちゃったのよ。」
「あぁー、だから女の子にならざるを得なくなったわけか…」
「納得するなよ…」
優が泣きながら反抗する。
「ゆーお姉ちゃん、泣かないで。由香がぎゅってしてあげる。」
「由香がしたいだけでしょ……」
両手を広げておいでと言い出す由香を睨んで突っ込む。
「優は学校の場所知らないから、由香が道案内してね。」
「はーい。」
由香が僕の手を引っ張ってドアの前に行く。
「ま、まって由香、僕は部屋の荷物が…」
そう、寮生活なら必要最低限の物を持っていかなければ―
「服は全部処分したし、新しい服とか必要な物はもう全部引っ越し屋さんに頼んで寮に運んでもらうわよ。」
………もぅ。
どうにでもなれ。
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