2 助け

5/6
前へ
/59ページ
次へ
「こいつを鍛えてやってくれ」 そういって海皇寺さんは私を投げた。 「おっと。大丈夫?」 雪乃さんは私を受け止めた。 「はい…」 ガジャン ドアが音を立てる 「わりぃ、行ってくるわ。」 そういって海皇寺さん達は店を出ていった。 私はドアに目を向けた。 「あれ…何?」 真っ黒で大きな蜘蛛みたいな… 「あれはね、ビスピって言って、動物王国から来た…敵。」 「私に向かう愚か者よ、地獄の炎で消滅せよ!火風乱!!」 琥珀の声だ。 ボゥゥゥ ビスピが燃えている。 「ウォォォォ!!!!!!」 ビスピの叫び声が聞こえる。 怖い。 琥珀達もビスピも雪乃さんも怖い。 なぜ琥珀達は簡単に殺してしまうのだろう? なぜ雪乃さんは普通に見ていられるのだろう? 「なぜ泣いているの?」 雪乃さんが優しい声で言う。 泣いてたんだ… 「怖かったの?」 私は首を横に振った。 「もしかして…ビスピが死んで悲しんでいるの?」 「…わかりません。」 雪乃さんは私の頭を優しく撫でた。 ガラガラ 「ん?雪乃、春を泣かせたのか?」 海皇寺さんが言った。 「違うわよ、馬鹿。」 雪乃さんが私を海皇寺さんに渡す。 海皇寺さんは私をポンポンと叩くように撫でた。 「で、何の用件?」 雪乃さんはお茶を淹れながら聞いた。 「あぁ、こいつを鍛えてやってくれ。」 「…はぁ!?」
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加