2人が本棚に入れています
本棚に追加
チュンチュン
小鳥が鳴いている。
朝だ。
私は、欠伸をして、みじたくを始めた。
トントン
ドアがノックされる。
「春ちゃん、起きてる?」
佐実川さん。
「はい。」
私は、ドアを開けた。
「おはよう。」
佐実川さんはニコリと笑う。
「おはようございます。どうしたんですか?」
「あのさ、咳止めみたいなの、持ってない?」
「風邪薬なら…。誰か風邪をひいたんですか?」
「うん。琥珀がね。少し体が弱いんだよ。」
そうなんだ…
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思うよ。」
私はバックから風邪薬を取り出した。
「これでいいですか?」
私は風邪薬を佐実川さんに見せた。
「うん。ありがとう」
佐実川さんは風邪薬の説明書を読んだ。
そういえば、これは人間用だ。
狼にも効くんだろうか?
「…あ。」
佐実川さんは風邪薬を持ったまま固まる
「どうかしましたか?」
私は佐実川さんに聞いた。
「琥珀って、人間で言うと…何歳?」
…あ。
「………」
「………」
少しの沈黙。
「2人とも、どうしたの?」
雪乃さんが私達に声をかける。
「雪乃、咳止めみたいなの持ってない?」
佐実川さんは雪乃さんに聞いた。
「風邪薬と咳止めは持ってるけど。狼用?」
「うん。」
「はい。後で何か持っていってあげる。」
雪乃さんは、風邪薬を渡して下に下りていった。
「春ちゃん、ごめんね?」
佐実川さんが申し訳なさそうに謝る。
「…いえ、別に」
私はニコッと笑って部屋の中へ戻った。
「じゃあ、僕は先に行くから、準備が終わったら下りて来てね。」
佐実川さんはニコッと笑って階段を下りていった。
バタン
私はドアを閉め、布団に倒れこんだ。
「…はぁ…」
私は必要ないんじゃないか。
私は邪魔なんじゃないか。
私は皆に嫌われているんじゃないか。
私は…
止めよう。
もう、そんな事を考えたくない。
『アンタなんか、いらないの。存在価値ないわ。』
昔、言われた言葉を思い出す。
『邪魔なんだよ!』
お父さんに
『はぁ…。ホント、アンタ嫌い。』
親友に
「はっ…はははっ」
私は急に笑いだした。
自分でもなぜ笑ったのかわからない。
それに、頭痛もし始めた。
「……馬鹿みたい。」
私は呟く。
なぜ、そう思ったのか。
わからない。
「死にたい…」
昔の口癖を言う。
そのとたんに涙が出てきた。
悲しいのか、寂しいのか。
私はわからない。
だけど、ただ、涙が止まらなかった。
最初のコメントを投稿しよう!