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魔界を代表する有能で破天荒な妖艶美女、黒衣の『魔女』様だ。紅い姫カットの長髪がよく似合う、紫銀の瞳をした端整な顔立ちにそのナイスバディは誰もが振り返る。
そんな彼女の執事として従うレナードには人型と獣型とがあるのだが、主の魔力を感知すると人型だろうと自然に耳と尻尾が現れてしまうのが彼の未熟な証だった。
「ぷ…解ってるわよ」
「笑わないで下さいよ…これで自分も必死なんですから…」
いまいち自分の魔力を制御しきれていないレナードだが、魔女様はいつだって無理難題を押し付けては楽しんでいる。
根本的な疑問。何故、魔女が人間界の、極普通なアパートに棲んでいるのか。
それはただ…
何となく。
…そんな自由奔放な魔女様が、ここ日本で、閑静な住宅街の一角に一人腰を据えるようになってから一週間。
「解ったもうそんな耳とっちゃいなさい。アンタじゃ萌えキャラにはなれないわ」
「え?…っいだだだだだ!!やめて下さいー!!!」
…閑静だった住宅街。今では毎晩、男の悲鳴と啜り泣く声が、夜な夜な響き渡っているとかいないとか…。
「あ、本物のパンプキンプリンが食べたい」
「もう勘弁して下さいー!!」
執事の苦労はまだまだつづく―…
[街角魔女サマ始動! 終]
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