8人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、悠人」
「え?」
そんなことを考えながら頭を抱えていると、隣の席から飛んできた声が俺の耳を掠めた。
すかさずその方を振り向くと、教科書に隠れながら話してくる男子生徒の姿があった。
俺の友達、白石健人(しらいしけんと)。
お調子者で、いつもやんちゃななことばかりやっている、女好きな奴だ。
先生の視線を気にしながら、俺も視線を健人に合わせる。
「なに?」
「なんの夢見てたんだよ? ハーレムか? それともエロティックなやつか?」
なんなんだ、コイツは。
「授業中に話しかけてきたと思ったら、相も変わらずそんなくだらないことかよ」
「いや、くだらなくはないぞ。もしお前がエロティックな夢じゃなく、男同士の宴の夢なんて見ていたらどうするんだよ!」
いや、そんな本気で言われても……ってか、お前の思考回路、間違いなくどこか断線してるだろ……。
「そんな意味の分からない夢なんて見ねえよ。というか、そんなくだらない用件で授業中に話しかけてくるな、気が散る」
「寝てた奴がよく言うよ。でも、本当に伝えたい用件は別にある」
健人はそう言って、妙に真剣な顔つきになった。
最初のコメントを投稿しよう!