桃園の誓い

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俺「…ん」上体を起こす。 どうやら俺が寝ていたのは木製のベッドの上らしい。どうりで先程の地面ベッドよりも寝心地が良いわけだ。 俺「……?」 辺りを見渡してみる。経緯は解らないが何処かの部屋に運び込まれたらしい。 加えて。遠くからガヤガヤと人の声が聞こえてるくる。 どうやら本当に助かったみたいだ。 俺「……はは……良かった……」安堵したのか、身体から力が抜けた。 ぽすんっと。再び木製ベッドに寝転がる。 「ぎゅるるる」 しかし空腹は収まらない。 俺「……腹…減ったなぁ」 ?「ほっほっほ。だと思うておったよ」返事を待たない独り言に返事が返って来た。 顔を動かして目線をやると。 物腰柔らかそうな老人が実に美味そうな匂いのする器を持って立っていた。 ?「……」 その老人にぴたりと、先程走り去って行った少女がぎゅっと服を持って引っ付いている。 ?「お主が寝ている間ずーっと、腹の虫だけは起きていたわい」 そう言いながらこちらに歩いてくる。と。 ?「ほれ」 手に持っていた器を俺に差し出した。 俺「……食べさせてください」 ?「ほっ?」 俺「身体……悲鳴……ぎゃああー……」上手く要点を伝えられたと自負しております。 ?「ふむー。仕方ない奴じゃのぅ」 老人は箸を使い、器から長い麺を取り出す。どうやら拉麺らしい。 そしてそれを。 ?「ほれ」 冷まさずに俺の顔面にダイレクトアタック。 俺「あっちゃあああ!?」 陸に上がった魚の様にびくんびくんと勝手に身体が悶える。どっかのお笑い芸人に対する罰ゲームか。 ?「ほ。すまんすまん。最近手が震えてのぅ。上手く口に運べん」 俺「だったら最初から注意事項ください!?」 ?「すまんと言うとろうが」 もう一度麺を顔面にぴたり。 俺「ぎゃあああよおおおし良い度胸だじじぃいいい!拉麺食べた後に、替え玉入れて同じ様に仕返してやるからなあああ」 じじぃ「その頃にはもう汁も冷めとるじゃろうて。冗談じゃ冗談」ぶっ飛ばすぞこんにゃろう。 じじぃ「これ。呂布よ、ワシは大事な用があるからこ奴に食を食べさせてやりなさい」 そう言うと。服を掴んでいる少女の頭を軽く撫で、器を少女に渡す。 呂布「ん」 軽く頷くと器を受け取り、俺の目線に合わせて膝を曲げる少女。 ってか、待て。 聞き間違いじゃなきゃ……今呂布って呼ばなかったか?。
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