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「……ズズー…ズルル……」
俺「もぐもぐ……ごくん」
呂布「……ふー……ん」
「……ズルル…ズズー」
俺「もぐもぐ……美味ぇ」
拉麺をすすり食す。そんな音と外から聞こえてくる喧騒だけが部屋に響いていた。
じじぃは用事だと出掛け、少女と二人きりの部屋。
俺に拉麺を食べさせてくれている呂布と呼ばれた少女と会話は一切無かった。
拉麺もシチュエーションも美味しすぎる程美味しいのに、何故俺は息苦しさを感じている?。
俺「………」
ちらりと少女に目線をやる。
呂布「……ふー…ふー」
麺が伸びてるんじゃないか?と疑問を抱く程、夢中で麺を冷ます事に没頭しているんだから困る。
他に何が困るって、若干少女が冷ます為にふーふーしている息が顔に掛かるのが困る。
それが俺に目線を合わせた至近距離なんだから余計に困る。
呂布「ん」
麺を俺の口に運ぶ。
俺「あー。もぐもぐ」
呂布「………」
更に食べている所を無言でじっと見られているのだから困りすぎる。
人生でこんなに困った事ってあったっけな?。
あ。あったわ。ギャルゲの告白シーンで親が帰って来た時。あん時急いで画面を消した俺の態度を見た親の反応、絶対にエロスビデオを見ていたと勘違いしてやがったぜ。
わざとらしくすぐさま部屋を後にするなって。
いや。居座られても困るんですけどね?本気で。
そんな黒歴史を鮮明に思い返し軽い鬱になっていると。
呂布「……お前の服、変だ」
突然少女が話し掛けてきた。
俺「え?」
呂布「変な文字が描いてある」あ。ジンタンの真似をして着ているあの花Tシャツです。めんまあああ。
呂布「それに……」
ぺたり、と。少女がジーンズ越しに股辺りを触ってきた。
呂布「……この布、妙に固い」
不思議そうにぺしぺしとジーンズを叩く少女。
俺「やめてっ。さっきからそこら辺若干おっ起してるから」主にふーふー的な意味で。
呂布「……?ぺしぺし」
俺「おうふ」
呂布「……ふふん」
にんまりと満足な笑顔を見せる少女。子供かっ。あ。子供か。
呂布「お前の弱点は布なんだな。分かった。今日からお前は俺様の下僕だ」
俺「はい?」
呂布「ぺし」
俺「おうふ」
呂布「……ふふん」
弱点勘違いしているけど満足度百パーかっ。
呂布「おい。主人に名前を教えろ」
俺「おっと。人に名前を尋ねる時は自分からだぜ?」
呂布「ぺし」
おうふ。本当に弱点かも知れない。
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