桃園の誓い

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呂布「早く名前を言え。俺様はせっかちだぞ」お子様めえええ。 まぁいい。大人な俺は子供がとる言動も行動も寛大な心で許してやろう。 それに俺が名乗れば呂布も名乗る筈だ。確かめておきたい。このロリっ娘が、一騎当千と詠われた「呂布奉先」本人なのかを。 しかし。先ほどからの仕返しとして嘘の名前を教えておく。大人です(迫真)。 えーと……うーむ……適当に名前は無いものか。 三国志……劉備……孫堅……曹操……。 あ。思い付いた。 呂布「はーやーくー」 俺「まぁ待て。今名乗る……俺の名前」 三国志っぽく名乗りを決めてやんよ(キリッ。 俺「…姓は霞。名は拳、字は志郎」名前の文句は俺に言え。 呂布「霞拳志郎……ふーん。変な名前だな」言われた(´・ω・`)。 俺「で。俺が言ったんだから君の名前も教えてくれないか?」 呂布「……?そうだった。下僕第一号である、お前には特別に教えておいてやろう。聞いて驚け」 ゆっくりと立ち上がる少女。 呂布「俺様は呂布。姓は呂。名は布。字は」 そして。 呂布「奉先」 本格的に俺が三国志と言う歴史に介入する瞬間を、さらりと言ってのけた。 呂布「いずれ天下を駆ける。振り落とされずに着いて来い」悪戯っぽく無垢な笑顔でにっこりと微笑む少女。 俺「………」 唖然。言葉が出てこない。開いた口が塞がらないってこういう事を言うんだろうか。 あのじぃさんが呂布と名前を呼んだ時に、まさかとは思っていた。 けれど。心の何処かで別人だろうと思っていた自分が居たのも確かで。 実際に名前を聞かされた瞬間に訪れた衝撃は、予想の限界を越えて遥か上を突き破りやがった。 あの天下無双と呼ばれた呂布が、こんな小さな少女として目の前に現れたんだから当然と言えば当然なのか?。 にしても。 呂布「……?どうした?」 俺「……いや」 いまだに信じられん。名前を聞かされても実感出来ないって。 呂布「?そうか?」 「ぎゅるるる」 俺「あ」 呂布「む?」 驚きに比例したのか、話しが丁度きり良く終わった時に腹の虫が鳴る。 空気が読める虫である。 呂布「……ふふ」 くすくすと笑うと、さっきと同じ様に膝を曲げて俺と目線を合わせる。 呂布「……ふー…ふー…食え」 俺「あー。…もぐもぐ」 呂布「美味しい?」 俺「……結構」 呂布「ふふん。この味、じーじも気に入ってる。……ん」麺を俺の口に運ぶ。 なんだが餌付けされてる気分だぞ。
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