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Re:Ⅰ Episode.
「……終わらねえ」
「終わるよ」
全く軽く言ってくれる、なかは溜め息混じりに幼なじみを見た。
山積みの書類は最近になってやっと、隣と反対隣の戦争が終結したからだ。
それならついでに間におわす我が国、ルシエルとも条約を掲げようと五月蝿いのである。
「皇帝陛下、」
「ああ?」
「気晴らしにお一つ、」
「お、」
那珂は幼なじみ──やなが指差す先に片頬をあげた。
窓枠に手をつき、薫風を四肢に浴びる。
「さあ、行こうぜ」
降りた先は城下、賑わう喚声に携えた鞘が舞った。
Re:Ⅰ Episode.
戦争の爪痕はいまだに残っている。
自国、オルトラでは山々が枯れ果て、川は痩け、非難してきた農民は帰れないと言う。
確かに、そうだろう。
柚慧は足に巻いた木の皮を外し、懐に潜めた干し肉を食べた。
途中、配給をしていた軍人から貰ったのだ。
勿論、麻生地と交換で。
故に身につけるものはズボンとシャツだけになってしまった。
一息ついてまた、国境を目指す。
「──待て、」
不意に呼び止められ、半身振り向いた。
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