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◆
翌日。
テストの日という事で、普段よりも10分ほど早く教室に足を踏み入れた。
優等生らしく、勉強しようと思った……わけでもなく。
なーんとなーくそんな気分だったんだよねぇ。
ただ、ホントになんとなくかって聞かれると、怪しいところ。
なんとなくで学校へ歩いてる途中。
あ、早く行けば、椎名の顔見なくていいかも……
後からきたとしても、そっち向かなきゃいいんだし?
……この理由は後付けだからね!
最初からそれを狙ってたわけじゃ、ないんだからね!
そもそも椎名って、今日学校くるの?
休みの確率高くない?
なーんて、教室の席に座りながら考えているとーー
「あ、あの木下さんっ!
勉強教えてもらいたいんだけど、今いいかな……っ?」
「私にわかる事なら……
どの教科の問題でしょうか?」
「えっと、数学なんだけどーー」
話しかけられて、誰もいなかったはずの教室に20人ほどが登校してきている事に気づいた。
「ーーあ、ありがとう!」
「いえ。
力になれて良かったです」
笑顔で去って行く子の背中を見て、フーッと息をはいた。
あと10分でHRかぁ……
テスト前にも関わらず、のん気に時間が過ぎるのを待つ。
“ガラガラッ……”
「……はよ」
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