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「無駄にエロい声出すな。気持ち悪い」
「そっそんな!!私の裸だって結構需要あるのですよ!!」
「誰が小太りしたおっさん妖精の裸を好き好んで見るんだよ」
「私です!」
「あんたかい!!…はぁ、もういい。とりあえずそこの桶でこれ使って体洗ってこい」
「解りました」
葛城が妖精サイズに割った石鹸を渡すと、妖精はルンタッターと鼻歌を歌いながら桶に浸かる。
それを確認して葛城は妖精の服を持って部屋に入った。そして机に置いている箱からメジャーを取り出す。
「へぇ。結構精巧な服だな」
妖精の服は中世ヨーロッパの貴族を思わせる作りだ。まぁ、この格好いい服も妖精が小太りしているおかげでパツンパツンだが。
「ならこれよりゆとりをもって作るか」
油まみれのこの服を風呂上がりに着させるのはあんまりだろう。
葛城は布と裁ちはさみを取り出し服を作り出した。時間はないから簡易服だ。それでもサイズが小さいからすぐ作れるが。
「葛城様ぁいい湯でした」
「あぁそうか…って全裸で俺の家をうろちょろすんな。あぁもうタオル置いてただろ。拭けよ。廊下ビショビショじゃないか」
「あっあのタオル使って良かったんですか!?」
「あぁ。とりあえず戻って拭いてこい」
葛城の気遣いは妖精に届いていなかった模様。葛城は、はぁと本日何度目かの溜め息をついた。
「葛城様ぁ!!私の服が消えましたぁ!!」
「ちょっと待ってろ」
そう言って葛城はよっこいしょと少々じじくさく立ち上がる。そしてタオルで廊下の水を拭きながら浴室に向かった。
「あんたの服油まみれになっちまったから作った。着ろ」
一応羽が出るように、きちんと作ったTシャツとズボン。あと下着セット。
「こ、コレはどこから…はっ!?まさか妖精国からお取り寄せを?」
「いや、俺が作った。俺の仕事、デザイナー」
「か葛城様がですか!?家宝に致します!」
「そんなたいしたもんじゃないから…とりあえず風邪ひくから着ろ」
「あ!はい!!」
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