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「え…沙樹が、死んだ…?」
彼女と別れて1週間経った日だった。
久し振りに鳴った携帯電話に出れば、聞いたのは沙樹と共通の友人であるヤツからの…彼女の訃報だった。
俺はとても信じられなかった。
「い、今、何処に…っ…」
「“落ち着け…中央病院だ。お前も来い”」
あまりにも…冷静過ぎると言って良いほど、落ち着いた友人の声。
俺は「すぐ行く」と言って電話を切り、車で病院に向かった。
病院に着けば、電話を掛けて来た友人…光(ひかる)が自動扉の前で待っていた。
「沙樹の…遺体は…っ…」
「…霊安室。コッチだ」
信じられなくて、声が震えた。
電話の時と同じく、光は落ち着いて答えた。
彼の眼鏡越しに見えるその目には、薄らと涙が滲んでいた。
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