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「私はよく知らない人を護衛には絶対にしたくないの」
「そりゃ意外だな」
黒堂家の娘となりゃあ護衛の1人や2人つけてそうだがな
「他人が常に自分の隣にいると気をつかって疲れるの」
彼女は肩をすくめた後
また話を再開する
「それに、人が親しくない他人のために自分の命をなげだせるなんて思わないの」
「そりゃ確かに」
これで彼女が自分に合う護衛を探している理由は分かった
だが、まだ分からない事がある
「事情は分かったが、なんで俺なんだ?言っとくが俺は護衛でもねーし、そういった類いの仕事をしているんでもねーぜ?」
「でもあなた、さっき万引き犯を一瞬でノックアウトしてたじゃない」
「まぁそうだが………」
「それだけの実力と勇気があれば十分よ。それを見るために私が直接探してるんだし、なにより親に急かされてるのよ」
そこまで話すと一乃はこちらをしっかりとみすえて
「もう一度聞くわ、私の護衛にならない?」
正直、俺にはかなりうまい話だと思うがやはり人生を左右する選択だ
ゆっくり考えたい
「少し時間をくれ」
「分かったわ」
そう言うと彼女は鞄から紙とペンを出すと、何やら書き始めた
「はい、これ」
数分で書き終わり、紙を俺に差し出した
「なんだ、これ?」
「私の家の周りの地図よ、もし気が向いたらここに来てちょうだい」
そう言って細かく書かれた地図の左下の星印を指差す
「気が向いたらな」
「ええ、それで良いわ。じゃあ私はそろそろ行くわね」
そう言って立ち上がり、待ってるわ と良い残し、会計を済ませて店を出ていった
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