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足元を埋め尽くす家屋の残骸、黒煙の臭い、血の臭い、悲鳴、人の骸。
そんな中
パラパラと崩れ落ちるビルの傍に
ある男が平然と立ち尽くし
興奮し携帯のカメラを向ける愚鈍な市民に向けて、静かに響く声で語っているのを逃げている最中に目にした
──────これが犠牲の上に造られた国の崩壊。その序曲
今も、そして、これからもこうして生まれいずる憎悪の火種は、やがて業火の如く、全てを焼き尽くす
誰にも止められない
人は淵に立たねば気付くことができない
大切なモノは何なのか
日常がいつまでも自分の傍にあると信じて疑わないこと
それはいつ失うか分からないこと
奪う者は常に存在すること
簡単なのだ、呆気なく、全てを一瞬で失ってしまうこともある
そしていつか後悔する。自らの過ちを。それが人だ──────
泣き叫ぶ声
狂ったような笑い
カメラのシャッター音が入り交じった隔離区域は
俺が見てきた中でも最も滑稽だった
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