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そこには悠然とした
自然が広がっていた
穴から完全に抜け出し
立ち上がると空を仰いだ
“あそこ”から抜け出した実感はあまりなかった
──あなた、白犬晃平ね?
不意に声が聞こえ
瞬時に身構える
──あまり身構えないで。敵意はないわ
そこにはスラッとした出で立ちの
165㎝くらいはある女性が
黒いコートに身を包み立っていた
──誰だ
──私?私は高城悠里(たかぎ ゆり)。あなたのお父さん…………白犬獅道の友達よ
──親父の?
──ええ。で、あなたが白犬晃平で間違いなさそうね
──だったらどうする
──これをあげるわ
そう言うと
女は中身の詰まったバックを投げわたしてきた
──これは?
──着替えとかの生活必需品よ。あとこれも
すると今度は、女は自らの鞄から茶封筒を取り出し
晃平に手渡しをする
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