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受け取ってすぐに
封筒を破り、中身を確認する
入っていたのは札束と何枚かの書類
隔離区域でも
稀に書籍が手に入るため
字はかろうじては読める
──この紙は?
──“こっちの世界”の常識が書いてあるものと、あなたの身分証明書と過去設定よ
──身分証明書?
──こっちの世界はそれがないといけないの。偽造して作るの苦労したんだからね
改めて身分証明書を見ると
所々に空欄があった
──なぜ空欄が多い
──大丈夫よ。外国に行ったりしない限りは差し支えないわ。それに、主要なところを偽造しても、調べられるようなことになったらすぐにバレて、後ろめたい理由ありと判断されてしまうわ
それよりなら、敢えてそこは偽造しない方が良いとふんだの
──………
──あら冷たい反応ね。ふふっ、そういうところ獅道にもあったわね
──あんた本当にあいつの友人か?
──本当よ
──なぜオレを怖がらない
──あなたが獅道の息子だからよ
──………
──そうだ、あなた獅道の居場所知らない?
──知らない
──そう。…………じゃあ用も済んだし、私行くわね
そう言うと
高城は近くに待機させておいた
白い車に乗り込む
じゃあね
と言い残し場を去っていった
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