人口減少

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坂を上り終え、しばらく進むと俺が通うキャンパスがある。 3ヶ月前、憧れと希望を抱いてキャンパスに足を踏み入れた。必死で目指したこの場所を、誰が憐れみの目で見つめるだろうか。このときは歓喜で前が見えなかった。 俺は自転車を降り、日当たりのわるく狭苦しい講義室へと向かった。 「あ、洸祐!こっちこっち!」 俺は暗い教室の中、一点だけ光る場所を見つけた。 彼女は、真田茜(さなだあかね)。同じ高校からやってきた友達だ。というか、俺はこいつの事が好きだ。 あれは高校の卒業式の日――。 「茜…。俺…好きだった。ずっと。お前のことが。」 「…洸祐……。」 「言うなら今しかないと思…」 「ごめん!私…無理なの…。」 「…だよな。んじゃ大学行っても元気でな!」 そう言って俺はその場を去った。というかダッシュで逃げ出した。 ――そして今。 俺は大学の入学式まで知らなかった。まさか同じ大学だったなんて。 入学式の日、茜は何事もなかったかのように話しかけてきた。。気まずさを感じているのは俺だけだった。 いや、そもそもあの日の出来事は全て俺の妄想だった。その解釈が自分自身を納得させた。 まあそんなことは、もはや過去だ。もう忘れた。 俺はイヤホンを外しながら、眩しい光の差すところへ向かった。 「おはよー。今日も早いな。」 そういえば俺の自己紹介がまだだった。 俺の名前は本多洸祐(ほんだこうすけ)。たいして紹介することはないが、言うなれば、頭がキレる天才だということだろうか。
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