人口減少

4/5
前へ
/7ページ
次へ
「…であるからして、地球と太陽の距離はすごく絶妙な位置にある。あと少しでも近ければ、地球はものすごく暑くなるし、遠くなれば氷河期になるだろう。」 禿面の教授が一生懸命熱弁している。そのせいなのか、この教室は暑い。 「この講義だりーよな。」 俺は茜の方を見て言った。しかし彼女は寝ていた。 俺は一瞬ドキッとした。純真無垢な赤子のように無防備な彼女に。 俺の手が無意識に… いや、ダメだ。一回フラれてるんだ。 理性と本能の狭間で起こった葛藤は講義終了まで続いた。 「おい、起きろ。講義終わったぞ。つかお前寝過ぎ。」 「あっ、終わったんだ…。」 あどけない顔で目を覚ました茜もまた可愛かった。 「ん?どうしてそんなに汗かいてるの?」 茜にそう言われた俺は、自分が汗だくなことに初めて気づいた。 「あ、…あぁ、教授の太陽みたいな頭が近くにあったからかな。」 そう言って俺は、おでこの汗を手で拭った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加