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「…であるからして、地球と太陽の距離はすごく絶妙な位置にある。あと少しでも近ければ、地球はものすごく暑くなるし、遠くなれば氷河期になるだろう。」
禿面の教授が一生懸命熱弁している。そのせいなのか、この教室は暑い。
「この講義だりーよな。」
俺は茜の方を見て言った。しかし彼女は寝ていた。
俺は一瞬ドキッとした。純真無垢な赤子のように無防備な彼女に。
俺の手が無意識に…
いや、ダメだ。一回フラれてるんだ。
理性と本能の狭間で起こった葛藤は講義終了まで続いた。
「おい、起きろ。講義終わったぞ。つかお前寝過ぎ。」
「あっ、終わったんだ…。」
あどけない顔で目を覚ました茜もまた可愛かった。
「ん?どうしてそんなに汗かいてるの?」
茜にそう言われた俺は、自分が汗だくなことに初めて気づいた。
「あ、…あぁ、教授の太陽みたいな頭が近くにあったからかな。」
そう言って俺は、おでこの汗を手で拭った。
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