終わらない恋になれ

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『俺が光を幸せにするから…!絶対にしてみせる…っ!』 懐かしい‘あいつ’の姿が、ふと頭に過(よぎ)る。 『だから……、だから俺を好きになってよ…!!』 今にも泣きそうな必死な顔だった。いや、泣いていたか。 「…ふっ、」 思い出してしまった俺は、なんだか面白くて一人で吹いてしまった。 「なに笑ってんだよ」 「…あ、薮」 一人でベースをいじくっていた俺に話し掛けてきた‘あいつ’。 吹いてしまった原因の本人の登場に、また顔が緩んでしまう。 「光ちゃーん!…あっ薮くんもいた!あっちでみんなでゲームしようよっ」 入り口からピョコっと顔を覗かせる知念。 すぐさま龍太郎もやってきた。 「駄目だよ知念くん!二人は今やぶひかしてるんだから」 「あ、そっか。やぶひか中に邪魔しちゃいけないね」 「そうだよ、いこ」 「うん!」 俺たちの意見は全く聞かず、いきなり来て、いきなり帰っていった知念と龍太郎。 てゆうか。 「なんだよ、やぶひか中って」 「それ俺も思った、薮」 メンバーはみんな俺ら二人が一緒にいると、やぶひかだ!と言って何故か嬉しそうにする。 それはファンも同じだった。 「…ま、いーや。久しぶりに男同士語ろうぜ」 「は?なんだよ気持ち悪いな。俺ベースやってんだけど」 「たまにはいいじゃん。やぶひかしようよー」 「使い方あってんのそれ?」 「知らね」 「…はぁ」 仕方なくベースを置くと、薮は目を細めて笑いながら俺と少し離れた椅子に座った。 確かに、二人きりは久しぶりだった。
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